【安保3文書】対中戦力の構築「歴史的な成果」来年度の防衛費は過去最大の約6.8兆円に!
今回の「安保3文書」は戦後、日本が直面した最も深刻で複雑な安全保障環境の下で作られた国家戦略だ。今までにない画期的な内容で、歴史的な成果だ。
従来、日本の防衛力は(日本が「力の空白」にならない水準の防衛力を整備する)基盤的防衛力構想に基づいて整備されてきたが、周辺国の能力に着眼してこれに対抗できる防衛力を戦略的な形で構築したことに大きな意味がある。さらに、従来はミサイル防衛(MD)としてきたものに反撃能力を加えて「統合防空ミサイル防衛」(IAMD)にしたことも意義深い。これにより今後、「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の見直しが必要になるだろう。
3文書の一つである国家防衛戦略は、明らかに対中戦略だ。中国を脅威と表現することには躊躇(ちゅうちょ)する意見があるが、中国の現状はわが国の国益に対する重大な阻害要因であることは間違いない。3文書は今後取り組むべき重要課題を明確に示しており、これらを実現していくことが重要だ。
第1は、セキュリティー・クリアランス(機密情報の取り扱い資格)とサイバー・インテリジェンスの法的整備と実行のための執行機関をつくることだ。第2は、防衛装備移転三原則および運用指針の見直しと防衛産業の育成だ。第3は自衛隊の常設統合司令部の設置であり、これらを基礎にした日米同盟協力の強化が今後の大きな課題だ。
この防衛力を作るために43兆円の防衛予算を予定している。浜田靖一防衛相と鈴木俊一財務相の尽力に敬意を表したい。
政府は、2023年度予算案の防衛費を過去最大の約6兆8千億円(米軍再編経費を含む)とする方針を固めた。国家安全保障戦略に明記する反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有に向け、米国製巡航ミサイル「トマホーク」の取得費2113億円を計上。攻撃型無人機(ドローン)の調達費も初めて盛り込んだ。来週にも閣議決定する。政府関係者が15日、明らかにした。
22年度当初の防衛費は過去最大の約5兆4千億円で、1.2倍超に膨らむ。23年度は岸田文雄首相が掲げる「5年以内の防衛力の抜本的強化」の初年度に当たり、新たな安保戦略を裏打ちする形だが、軍拡競争の激化へ懸念も強まりそうだ。
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