【馬毛島】基地整備などに4464億円!台湾有事に備え海上・航空両自衛隊の拠点に【鹿児島県】
中国の習近平総書記は、人民解放軍の最高指導機関「中央軍事委員会」の人事で「台湾シフト」を敷いた。「台湾有事は日本有事。日米同盟の有事」といわれるなか、鹿児島県南方から沖縄県・与那国島までの南西諸島の防衛力強化が注目されている。鹿児島県・馬毛島は、米空母艦載機の陸上離着陸訓練(FCLP)の移転候補地に加え、海上・航空両自衛隊の拠点として整備する計画が進んでいる。さらに、南西諸島の港湾や空港を自衛隊が使用できるよう、省庁横断型の協議会新設も検討されているという。「今そこにある危機」に間に合うのか。
「攻撃の抑止効果を高めるため、南西諸島の防衛体制を目に見えるかたちで強化する」
浜田靖一防衛相は2022年9月7日、緊迫する台湾情勢を念頭に、南西諸島の防衛力強化について、記者団にこう意欲を示した。
中国軍は8月上旬、台湾を取り囲むように大規模軍事演習を強行し、沖縄県・波照間島周辺の日本のEEZ内に弾道ミサイル5発を撃ち込んできた。
この演習の立案者で、台湾方面を管轄する東部戦区の前司令官、何衛東(か えいとう)氏が中央軍事委員会副主席に抜擢されたことで、「台湾有事」が加速する危険性が高まっている。
日米同盟の強化・深化は重要だが、日本独自の抑止力強化策として、米国の長距離巡航ミサイル「トマホーク」の購入を検討・打診していることが先週明らかになった。トマホークの射程は通常弾頭型で1300キロ以上。ジェットエンジンで低空を飛来するため、迎撃が困難とされている。
自衛隊の「空白地域」といわれた南西諸島の拠点整備も重要だ。
2016年3月、日本最西端の沖縄県・与那国島に陸上自衛隊の駐屯地が新設され、沿岸監視隊が設置された。鹿児島県・奄美大島や、沖縄県・宮古島にも陸自駐屯地が新設され、初動対応を担う警備隊やミサイル部隊が駐留している。今年度中にも、沖縄県・石垣島に駐屯地が新設される。
前述した馬毛島の整備も注目だ。
馬毛島は、鹿児島県・種子島近くにある無人島で、神奈川県・米軍横須賀基地を母港とする米原子力空母「ロナルド・レーガン」の艦載機による陸上離着陸訓練施設の移転候補地として注目されている。
同訓練は現在、艦載機の拠点である山口県・岩国基地から約1400キロ離れた東京都・硫黄島で実施している。岩国基地から約400キロという馬毛島に訓練施設ができれば、空母の恒常的活動にプラスだという。
さらに、防衛省には、馬毛島を海上・航空両自衛隊の拠点としても活用する計画もある。空自馬毛島基地(仮称)のイメージとしては、管制塔や格納庫、駐機場、訓練施設、揚陸施設、庁舎、隊舎などの施設が検討されている。
こうしたなか、産経新聞は10月31日朝刊に、「安保インフラ整備へ協議会」「南西諸島の港湾整備強化」という独自記事を掲載した。
有事の際に、自衛隊の部隊や物資を輸送したり、住民を退避させたりするには、南西諸島の離島に大型艦艇が着岸できる港湾や、輸送機が離着陸できる滑走路のある空港の整備が課題といえる。安全保障の観点から、公共インフラ整備を進める国交省と防衛省、財務省、内閣官房など、省庁横断型の協議会の新設を検討しているという。
一連の南西諸島の防衛力強化をどうみるか。
元陸自中部方面総監で、千葉科学大学客員教授の山下裕貴氏は「台湾有事が現実味を帯びてきたなかでの動きだ。南西諸島は戦略的要衝にあり、防衛力強化は喫緊の課題といえる。馬毛島が米空母艦載機の訓練施設だけでなく、海自や空自の拠点として整備されれば、中国側への圧力になり大きな意義がある。南西諸島の安保インフラ整備は、島嶼部に住む自国民の避難も念頭にしたものだ。今後、台湾有事の在留邦人の退避も課題となる。難民のほか、台湾軍の戦闘機や艦艇が避難してくる可能性もある。政府は年末に向けて『国家安全保障戦略』など戦略3文書の改定作業を進めている。リアリティある日本有事を想定して議論すべきだ」と語っている。
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