【防衛費財源】法人税、金融所得、たばこ増税も検討!NATO基準で海保予算の算入【税調で議論】
政府・与党が、2023年度予算編成の最大の焦点となっている防衛費増額の財源として、法人税を軸に金融所得課税、たばこ税の増税を検討することが2022年9月16日、明らかになった。
与党関係者が同日までに経済界の一部に財源案の大枠を伝えた。11月から本格化する与党税制調査会の議論に向け、調整を進める。
政府は6月に決定した経済財政運営の基本指針「骨太の方針」で、「防衛力を5年以内に抜本的に強化する」と明記。自民党内では国内総生産(GDP)比2%以上への増額を求める声もあり、5兆円規模の安定財源の確保が必要となる可能性がある。
財源の柱とみられる法人税は、所得税や消費税と並んで、国の税収の多くを占める「基幹3税」の一つ。国税と地方税を合わせた実効税率は現在29.74%で、大企業を中心に負担。金融所得課税をめぐっては、1億円を境に非上場株式などの譲渡所得が多い「高所得者」の税負担が減少する「1億円の壁」の問題が指摘されており、富裕層に相応の負担を求める意味合いもありそうだ。
残るたばこ税は、国防費確保の観点からスウェーデンで税率引き上げの動きがあり、財政制度等審議会(財務相の諮問機関)などが財源案として参考にするよう提言している。
いずれも関係者の利害が絡むため、税率引き上げの議論が難航するのは確実だ。政府・与党内には、候補に挙がる3税のほか、国防力強化の費用負担の公平性を保つ観点から所得税を支持する声や、相続税も浮上。与党ではまた、防衛費増額の財源の全額を国債で賄うべきだとの主張も根強い。財源をめぐる今後の議論は曲折が予想される。
さらに、政府は13日、防衛費の算定方法に関し、海上保安庁予算など安全保障関係の経費を幅広く組み入れる「北大西洋条約機構(NATO)基準」を採用する検討に入った。
NATOは防衛費について国内総生産(GDP)比2%以上とすることを目標としており、政府は主要国と基準を統一させることで防衛費の増額を目指す。
鈴木俊一財務相は13日の記者会見で、防衛費の算出に関し「経済力などを含めた国力としての防衛力を幅広く捉えることが重要」と指摘。木原誠二官房副長官も11日のフジテレビの番組で「世界にしっかり説明できるものは考えていかなければならない」と述べ、NATO基準を検討する考えを示した。
NATO基準では海保に当たる沿岸警備隊予算のほか、退役軍人への年金などが含まれる。2021年度の防衛費は当初予算と補正予算をあわせてGDP比1.09%程度だが、NATO基準を採用すると1.24%となり、ドイツ(1.49%)の水準に近づく。
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