【防衛費概算要求】金額示さぬ「事項要求」100項目超、長射程ミサイル運用も
防衛省が検討する令和5年度当初予算の概算要求の全容が判明し、5兆5947億円を計上したことが2022年8月22日、分かった。防衛力強化に関わる新規事業は金額を示さない「事項要求」とし、年末にかけて確定させる。相手の射程圏外から攻撃できる「スタンド・オフ・ミサイル」の量産化や、攻撃や輸送などに使用可能な無人化装備の導入などを盛り込んだ。複数の政府関係者が明らかにした。
概算要求としては過去最大だった昨年度の5兆4898億円を上回る。これとは別の事項要求分は年末にかけて進める国家安全保障戦略など戦略3文書の改定作業とともに確定させる。
「スタンド・オフ・ミサイル」では、陸上自衛隊に配備された「12式地対艦誘導弾」の飛距離を伸ばした改良型を国内で量産するための製造態勢を確保。保有を検討する「反撃能力」としての活用も念頭に置く。
無人機では、警戒監視や情報収集だけでなく攻撃や輸送にも使用できる装備品を整備。新たな人工衛星の製造や、サイバー防衛の仕組みの導入など新領域の能力強化も重点的に配分した。人工知能(AI)を活用した意思決定の迅速化に関する研究費も盛り込んだ。
防衛省は来年度予算案の概算要求で、今年度予算比で約4千億円増となる5兆5千億円超とは別に、要求金額を示さない「事項要求」を100項目以上盛り込む方向で調整に入った。政府関係者への取材でわかった。事項要求には「敵基地攻撃能力(反撃能力)」があると見込まれ、射程が長い「スタンド・オフ・ミサイル」の運用も含められる。岸田政権は防衛費の大幅増を目指しており、年末に決まる新たな防衛戦略の内容次第で巨額化する可能性がある。
事項要求は、大まかな予算を要求する概算要求で、例外的に金額を定めず項目のみを盛り込むことが認められたもの。政府は2023年度の予算で、防衛や少子化対策などを対象とすると決めていた。
防衛費をめぐっては自民党が国内総生産(GDP)比で現在の約1%から2%以上とすることも念頭に、5年以内に抜本的強化する方針を打ち出している。岸田文雄首相も「相当な増額」を表明している。
続きは動画の中で・・・