【永世中立国】スイスがNATOに接近!ウクライナ危機で揺らぐ国是に変化が生じる可能性!
スイスの安全保障政策責任者はロイターのインタビューで、NATO加盟国との合同軍事演習や武器弾薬の「補充」などを含め、スイスが今後採択すべき安保政策に関する選択肢を提示する報告書を策定しているところだと語った。こうした議論が行われていることは、今回のインタビューで初めて明らかになった。
「最終的には中立の解釈方法に変化が生じる可能性がある」と発言。スイスのメディアによると、アムヘルト国防相も今週の米ワシントン訪問に際して、スイスはNATOに加盟しないが、より緊密な関係を築いていくべきだとの考えを明らかにした。
スイスは中立を貫くことで、第1次世界大戦と第2次世界大戦に巻き込まれずに済んだ。しかし、中立政策はそれ自体が目的ではなく、スイスの安全保障強化が狙いだとプッリ氏は主張。スイス、NATO両軍司令部や政治家間のハイレベル定期会合開催も選択肢の1つだと付け加えた。
中立政策の支持者らは、この方針のおかげでスイスは平和的な繁栄を享受し、東西冷戦下などで国際紛争の仲介者という特別な役割を果たすことができたと唱えている。NATOとの連携に大きく踏み出せば、こうした慎重に育んできた外交政策と一線を画することになる。
折しも同じく中立政策を掲げてきたフィンランドとスウェーデンは、NATO加盟に乗り出そうとしている。プッリ氏は、スイスでもNATO正式加盟問題は議論されてきたと認めつつ、報告書が加盟を推奨する公算は乏しいとの見通しを示した。
報告書は9月末までにまとめられ、内閣の検討を経て議会に提出され、将来の安保政策を巡る審議のたたき台となる。この報告書が採決にかけられるわけではない。
スイス外務省は、経済制裁や武器弾薬輸出、NATOとの関係などの問題を幅広く調査する準備を進めており、国防省はこの調査にも協力することになる。
スイスは、フランス革命とナポレオン戦争で混乱した欧州の安定を取り戻す目的で1815年に開かれたウィーン会議で中立政策を採択して以来、対外戦争を行っていない。1907年の第2回ハーグ国際平和会議では、国際間の武力紛争に参加せず、戦争当事者への武器や人員の支援、国土提供もしないといった、スイスの中立国としての権利や義務が明記された。
そして今、ウクライナ危機によって中立政策を巡る議論が再燃。現時点で焦点となっているのは、ロシアに制裁を科すが、スイス製の武器をウクライナに輸出することは認めないという政府の決定だ。
スイスのカシス大統領は、これまでウクライナを支援している第三国への武器提供を否定している。しかし、中立は「絶対的な教義」ではなく、ロシアに制裁を科さないと「侵略者の思うつぼになるだけだ」と述べ、この問題で視野を広げる可能性も示した。
スイスは昨年、一部のNATO加盟国で既に使用されている米ロッキード・マーチン社製の最新鋭ステルス戦闘機・F35の購入を決定し、NATOとの関係を築いている。
スイス軍当局は、NATOとの協力拡大が国防力強化につながるとして賛成しており、世論もロシアのウクライナ侵攻で劇的に変化した。最近のある調査では、NATOとの関係拡大賛成派は56%と、近年の平均の37%をはるかに上回っている。
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