【重火器支援の効果】米がU国に供与するM777榴弾砲と誘導砲弾エクスカリバーの威力
アメリカがウクライナ軍に供与するM777榴弾砲が、その正確性と威力で、ロシア軍との戦いの流れを変える大きな切り札になる可能性が出てきた。
ウクライナ軍はすでにこの榴弾砲を、ロシア軍に対する砲撃に使用している。この野戦向け大砲は、同国軍がこれまで持っていた旧ソ連製の兵器と比べて、性能が格段に向上している。
アメリカはM777榴弾砲90門の供与を開始したほか、オーストラリアは6門、カナダは4門を供与した。現在アメリカ陸軍および海兵隊によって用いられているM777は牽引式の榴弾砲で、最大射程距離は15マイル(約24キロメートル)、操作には8~10名の兵士を必要とする。
ウクライナの「キエフ・インディペンデント」紙の防衛担当記者、イリア・ポノマレンコは5月10日、こうツイートした。「M777はすでにドンバス地方に到着し、ロシアとの戦線で戦闘に用いられていることが確認できた!」
M777の口径は155ミリ。ポピュラー・メカニクス誌によると、これはNATO軍の標準的な規格だという。この点は、ウクライナが持つ旧ソ連製の口径122ミリおよび152ミリの榴弾砲からの性能向上と言える。
ウクライナが保有する「2S3アカーツィヤ152mm自走榴弾砲」は、最大射程が10.5マイル(約17キロ)しかない。同国の大砲は1991年の旧ソ連時代に製造されたものなので老朽化が著しい。
これに対し、M777榴弾砲は一般に精密誘導が可能な砲弾「エクスカリバー」を発射する。これは、衛星利用測位システム(GPS)を用いて標的を正確に狙えるもので、ウクライナはこの砲弾が供与されることになっている。4月25日付のAFPによると、カナダはすでにエクスカリバーを供与しているとのことだ。
アメリカ陸軍習得支援センター(USAASC)はエクスカリバーについて、「作戦司令官に対して、より強力な火力支援を提供し、致死性を向上させ、一般市民の巻き添え被害の可能性を減少させる」と説明している。
「エクスカリバーの砲弾は、妨害電波に耐える内蔵GPS受信機を搭載しており、慣性ナビゲーションシステムを改良している。これにより飛行中の正確な誘導が可能になり、射程距離に関係なく、ミス・ディスタンス(標的と実際の着弾点の間の距離)は2メートル以内に抑えられ、劇的に正確性が向上している」と、USAASCのウェブサイトでは解説されている。
M777榴弾砲の正確性と射程の長さに、性能が向上した155ミリ口径の砲弾が加わることは、ウクライナ軍にとって大きな強みとなる可能性がある。ウクライナ軍はすでに、同国北東部にある都市ハルキウ周辺の地域を奪還しつつあると伝えられている。
アメリカ国防総省の高官は5月9日の記者会見で、「現時点で310名以上のウクライナ軍兵士が、M777に関する訓練を完了した」と発言。約束した90門のうち85門がすでにウクライナに届けられたと述べた。
「これに加えて我々は、2週間に及ぶM777のメンテナンス講座を開始した。これは新たな進展になる。ウクライナ国内に非常に多くの榴弾砲が配備されることになった以上、メンテナンスの支援も重要だ」
米国防総省のある高官は4月29日、ドンバス地方でウクライナ軍を支援することに関して、M777は「圧倒的に効果的」だと考えられていると述べた。
M777榴弾砲に加えて、別のタイプの155ミリ大砲も供与される予定だ。オランダはPzH2009自走榴弾砲を6門送っており、フランスも10~12門のカエサル155mm自走榴弾砲を供与すると約束している。
続きは動画の中で・・・