【敵基地攻撃】検討本格化!ミサイル防衛の重層化図る【国家安全保障戦略】
政府は2022年末までに国家安全保障戦略を改定するのに合わせ、「敵基地攻撃能力」の保有に関する検討を本格化させる。
迎撃困難なミサイルの開発を進める中国や北朝鮮への抑止力・対処力を強化するのが狙いだ。自民党は既に提言作成に着手。他国領土に届く長射程ミサイルを含む装備を保有するかが焦点だ。
「いわゆる敵基地攻撃能力も含めあらゆる選択肢を排除せず、現実的に検討し、スピード感を持って防衛力を抜本的に強化していきたい」。岸田文雄首相は12月23日に東京都内で行われた講演で、こう強調した。
背景には、中国や北朝鮮によるミサイル発射技術の高度化がある。政府は、イージス艦と迎撃ミサイル「PAC3」が担っている弾道ミサイル迎撃能力について、陸上配備型迎撃ミサイルシステム「イージス・アショア」配備による重層化を図ったが、計画を断念。当時の安倍晋三首相は、別の手段で抑止力を強化する必要があると考え、敵基地攻撃能力の保有を検討するよう指示した。
近年、ミサイル技術はさらに高度化している。中国や北朝鮮はマッハ5を超える「極超音速」や、変則軌道で飛ぶミサイルの開発を進めていて、既存のミサイル防衛システムでは迎撃が難しい。防衛省幹部は「反撃能力を持つしかない」と強調する。
敵基地攻撃は中国や北朝鮮に届く長射程ミサイルだけでは不十分だ。目標の位置を把握する人工衛星や、敵のミサイル迎撃網を妨害する電子戦能力なども必要とされる。
安倍首相(当時)は19年5月の衆院本会議で、「いわゆる敵基地攻撃を目的とした装備体系を整備することは考えていない」と述べた。岸田首相は、この答弁を修正し一連の装備保有にかじを切るか慎重に判断する。
かねて敵基地攻撃能力の保有を求めている自民党は、安保調査会と国防部会が論点整理に着手し、5月にも政府に提言する予定。一方、公明党の腰は重く、安全保障上の大きな政策決定には欠かせない与党協議の行方は見通せない。
山口那津男代表は最近の会見で、敵基地攻撃について参院選で争点化すべきか問われ、22年度予算案を審議する通常国会や今夏に政府が策定する経済財政運営の基本指針「骨太の方針」を挙げ、「そうした取り組みが先行するのではないか」と述べ、議論の先送りを暗に要求。こうした発言を受け、官邸幹部は「参院選まで打ち出しは難しい」と話している。
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