【そのまま返すよ】中国の王毅外相が岸田首相に「一線は超えるなよ」と警告【安倍氏は水面下で活動】
中国の王毅外相が台湾問題で「一線を越えるな」と、日本の岸田新政権に注文をつけた。
岸田首相は中国と良好な関係にある自民党派閥「宏池会」出身のため、中国では関係改善に期待する声がある一方、台湾を重視する岸田首相の「友台」路線への警戒感も根強い。
スタートしたばかりの岸田政権に対し、王毅外相がくぎを刺した真意はどこにあるのか。
冒頭の発言が飛び出したのは、衆議院選挙が終盤を迎えた2021年10月25日、日中両国の識者が議論する「東京―北京フォーラム」へのビデオメッセージだった。
台湾問題について「両国の政治的基盤にかかわる」と指摘した上で、「一線を越えたりルールを破ったりしてはならない」と警告。
王毅外相の言う「一線」が、「一つの中国」政策の順守を指していることは明らかだ。
米中対立の最重要争点となっている台湾問題は、日米関係にとっても重要なテーマと言える。
菅前政権は日米首脳会談(2021年4月)後の共同声明に「台湾海峡の平和と安定の重要性」の文言を約半世紀ぶりに明記し、日米安全保障条約の性格を「地域安定」装置から「反中同盟」へと変質させた。
その直前の3月には、東京で外務・防衛閣僚による日米安全保障協議(いわゆる「2プラス2」)を開催。このとき岸信夫防衛相はオースティン米国防長官に「台湾有事では緊密に連携する方針」を確認。台湾支援に向かう米軍に自衛隊がどのように協力できるか検討すると約束している。
台湾問題を「内政問題」とする中国からみれば、台湾をめぐって日米が軍事協力を強化する展開は容認できない。
岸田首相は「自由で開かれたインド太平洋」を推進していくことを強調した上で、国家安全保障戦略、防衛大綱、中期防衛力整備計画(中期防)の改定をあげた。いずれも対中防衛力の強化を意図したものと考えられる。
こうしてみると、岸田首相の対中姿勢はきわめて冷淡と言っていい。
台湾政策はそれと対照的だ。
衆議院代表質問(2021年10月)で台湾について聞かれた岸田首相は、台湾を「わが国にとって基本的な価値観を共有し、緊密な経済関係と人的往来を有する極めて重要なパートナーであり、大切な友人」「非政府間の実務関係として維持していく日本政府の立場を踏まえ、日台間の協力と交流のさらなる深化を図っていく」と答えている。
この表現は2016年1月、蔡英文氏が台湾総統に当選した際、岸田氏が日本外相として初めて祝賀談話を発表したメッセージとまったく同じものであり、日本政府の「主体的な」台湾関与政策の基調をなす認識と言える。
親台姿勢の安倍首相から指示があったとみられるものの、第二次・第三次安倍政権の4年7カ月にわたる岸田外相時代に、日台の公的関係が前進したことは間違いない。
安倍政権下で進んだ「反中」の裏返しとしての「友台」は、続く菅政権でも進んだ。
台湾への新型コロナワクチンの供与は10月末までに計6回約420万回分に達した。安倍氏が水面下でアメリカと台湾に働きかけ、その連携下で実現したものとされる。
安倍氏は7月末、アメリカの上下両院議員、台湾の立法委員(国会議員)と初の戦略対話をオンラインで開き、台湾への圧力を強める中国の軍事拡大に強い懸念を表明している。この戦略対話は今後も定期的に開くという。
「親米・反中・友台路線は日本の最大公約数であり、岸田でも変わらない」
台湾大手紙の聯合報は、自民党総裁選で岸田氏が当選した日にそう書いている。
同紙が指摘するように、日米安保を対中同盟に変質させても野党から反対の声はあがらず、敵基地先制攻撃やGDP2%超の防衛費も選挙の争点にはならなかった。
米国家安全保障会議(NSC)のカート・キャンベル・インド太平洋調整官は、日米首脳会談直前の4月初頭に極秘来日した際、北川国家安全保障局長ら政府当局者に対し、米台湾関係法にならって日本も台湾に兵器・兵器技術供与を可能にする枠組み(日本版台湾関係法)を導入するよう要求したといわれる。
また、安倍元首相は7月末に産経新聞のインタビューに応じ、台湾訪問の希望を表明。これを受け、台湾の民間シンクタンクは同元首相の訪台時に立法院での演説を設定する準備に入ったという。
中国はバイデン米政権が「一つの中国」政策の空洞化を狙っていると警戒する。そして王毅外相の警告も、日本版台湾関係法や安倍元首相訪台による「一つの中国」空洞化に向けられたものと理解すべきだろう。
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