【新法制定検討】拿捕や逮捕可能に!EEZ内の調査船に対する取り締まり法整備【自民党外交部会】
日本最南端の東京・沖ノ鳥島沖の排他的経済水域(EEZ)で今月、中国の海洋調査船が6日連続で調査活動したことを受け、政府は調査船の取り締まりが可能となる法整備の検討に入った。現行法では漁業目的などの外国船は取り締まることができるが、科学的な海洋調査の場合はできない。海上保安庁による拿捕(だほ)や逮捕が可能となる新法制定や法改正を想定している。
EEZ内で海洋調査をしたのは、中国の調査船「大洋号」で、調査に必要な日本の事前同意をとっていなかった。この周辺海域で事前同意なしの調査が6日間続いたのは過去最長だ。
「海の憲法」とされる国連海洋法条約で、EEZの内側は、沿岸国が漁業や資源の掘削、科学的な海洋調査などに関する権利を有すると定めている。他国が沿岸国に無断でこうした活動を行うことはできない。
海保の巡視船が中国船の不審な動きに気付いたのは、今月9日の午前11時前だった。沖ノ鳥島の北北西約310キロ付近に漂っていた中国船の甲板から、ワイヤのようなものを海中に下ろしているのを確認。何らかの機器を海中に投入し、引き上げる作業は14日まで連日行われ、16~18日にも同様の行為を繰り返した。
中国のこうした調査は、海底資源の探査や獲得といった経済的な利益を得ることに加え、海底の地形や音の伝わり方を調べて潜水艦の運用に役立てるなど軍事的な狙いもあるとされる。
海保の巡視船は中国船に対して、無線と電光掲示板で「わが国の事前の同意がない調査は認められない。中止を求める」とのメッセージを送り続けた。中国船が移動し、別の場所で活動しても、同じように中止を要求したが、中国船は従わず活動を続行した。
日本政府はこの間連日、東京と北京の外交ルートを通じて中国政府に抗議した。だが、日本側にできるのは原則、現場での中止要求や外交ルートを通じた抗議のみだ。
日本のEEZ内で外国漁船が違法操業をした場合には、「漁業主権法」に基づいて拿捕が可能で、これまでもロシア漁船を拿捕したり中国人船長を逮捕したりしてきた。日本の許可を得ていない鉱物資源の探査も「鉱業法」で取り締まりができる。一方、科学的な海洋調査に関しては、外国船や外国人を取り締まるための日本の法律は存在しない。拿捕や逮捕によって強制的に止めることはできないのが実情だ。
外務省によると、自国のEEZ内での海洋調査を取り締まる法律を整備している国は複数あるという。政府関係者は「日本では漁業資源を守ることが最優先で、外国による科学的な調査への関心は低かった。漁業に関する法律は急いで整備したが、科学的な調査への対応は後回しになっていた」と指摘する。
法の「抜け穴」を狙う形で、外国の海洋調査船が日本に無断で調査活動を行うケースは後を絶たない。海保によると、2016年以降で48件が確認され、このうち中国による調査が29件を占め、台湾による15件を大きく上回った。
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