【第501飛行隊】空自偵察部隊廃止で「RF-4E」は引退、後任は無人機へ【航空自衛隊】
2020年3月26日をもって、航空自衛隊偵察航空隊が廃止となった。偵察機を運用する第501飛行隊、情報を処理・分析する偵察情報処理隊などで構成され、これまで航空偵察を一手に引き受けてきた部隊だった。
1961年12月1日、松島基地(宮城県)で新編された。日本の主力戦闘機であったF-86Fセイバーを偵察機として改造したRF-86Fを配備していた。その後、幾度かの部隊改編を経て、75年に百里基地(茨城県)へと移駐し、今の形となる。
RF-86Fに代わり、配備されたのがF-4EファントムIIの偵察機バージョンである「RF-4E」だった。この機体には3種類のカメラが搭載されており、主に地上・海上目標の撮影に使われた。戦闘機F-15イーグルの配備が進むと、余剰となったF-4を偵察機へと改造していった。こうして、第501飛行隊は部隊を拡充していった。
今回の廃止には、2つの大きな理由がある。
まず、ファントムが老朽化していた。戦闘機型のファントムが続々と引退しているなか、偵察機型も同様に限界が見えてきた。また、機体に搭載されているカメラがフィルム式であり、今の時代にそぐわなくなってきた。スピードが求められる近代戦を戦い抜くためには、リアルタイムで司令部から各部隊まで情報共有できなくては、もはや戦うことすらできない。
第501飛行隊長、岡田智光2等空佐は、慣れ親しんできたファントムとの別れについて聞かれると、「機体に愛着を持っている。だが、われわれが乗る状況というのは、国民にとって不幸な事態が起こっているということ。よく頑張ってくれたな、もう十分だと思っている」と語った。
この度の偵察航空隊の廃止をもって、空自は偵察方法を大きく変えようとしている。目指すは完全無人化だ。
すでに導入が決定しているのが「RQ-4グローバルホーク」である。米ノースロップグラマン社製で、すでに米空軍などに配備されている。イラク戦争にも投入され、高高度からの偵察に用いられた。
2018年に防衛装備庁が総額164億円で米と契約を締結済みだ。21年度から3機を順次配備していく。そこで、新たに「滞空型無人偵察機隊」を新編する。部隊規模は約70人となり、三沢基地(青森県)に置かれる。臨時部隊がすべての機体を受領してから正式に空自の部隊となる。
阪神大震災や東日本大震災、御岳山噴火など、災害が発生すると、パイロットがRF-4ファントムへと乗り込み、一目散に現場へと向かい写真撮影を行ってきた。今後は、基地から遠隔操縦する無人機へとその任務は引き継がれていく。
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