【テクノロジー】防衛装備庁助成金で筑波大研究テーマに「軍事利用」反対の声
本年度の防衛装備庁による助成研究募集で、筑波大の研究テーマが採択されたことを受け、その是非を巡り波紋が起きている。
同大が昨年公表した軍事利用を目的とする研究の基本方針では「軍事研究は行わない」と表明。
同大は方針に反することはないとする一方、市民団体などからは「軍事利用につながる」と反対の声が上がっている。
防衛装備庁が募集したのは「安全保障技術研究推進制度」のSテーマ(2次募集)で、44件の応募に対し5件が昨年12月に採択。
同大の研究は藤田淳一教授が主担当する「高強度カーボンナノチューブを母材とした耐衝撃緩和機構の解明と耐衝撃剤の創出」。
本年度から原則5年間で最大計20億円が助成される。
同大は昨年1月、日本学術会議の声明を基に、軍事利用を目的とする研究は行わないとの基本方針を公表。
軍事、防衛機関から資金提供を受けて行う研究など、成果が軍事転用される可能性がある場合は、学内で事前審査するとした。
同大は、基本方針の
(1)研究活動が人道に反しないとの原則
(2)研究者の自主性・自律性が尊重される
(3)研究の公開性が担保される
今回の採択が反しないかについて茨城新聞の取材に回答。制度の公募要領に
「先進的な民生技術についての基礎研究を公募・委託」
「採択に当たり防衛装備品への応用可能性は審査の観点に含めていない」としているため、審査委員会で、申請の研究内容は新規材料に関する基礎研究であり、「軍事兵器への応用を意図したものではないことを確認している」とした。
研究者の自主性・自律性の尊重や、研究の公開性の担保についても公募要領に明記されていると指摘。
「本申請は基本方針の趣旨に沿っているものと判断し、応募を可として決定した」と説明した。
これに対し、学者・市民の団体「日本科学者会議」や、池内了名古屋大名誉教授らが代表を務める「軍学共同反対連絡会」などは、「学問研究の軍事協力を推進するもの。防衛装備庁は兵器や装備品に利用するために他ならない」と反対を表明した。
団体は署名活動を始め、2020年2月28日時点で200人の署名が集まったという。3月中にも「署名を添えて研究の中止を大学に申し入れる」としている。
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